①フッ素が適切に入っている歯磨き粉を使うこと
歯磨きそのものには虫歯予防の効果がなく、虫歯予防の効果を発揮しているのは、歯磨き粉に配合されているフッ素であったという研究があります。
つまり、フッ素配合の歯磨き粉を使わない「素磨き」では、汚れをとっているだけで虫歯予防の効果はないということです。
フッ素による虫歯予防効果は、その濃度に依存することも分かっています。
◎エビデンスがある適切なフッ素濃度について
「フッ素濃度が500ppm未満だと、虫歯の予防効果はない。500ppm以上では、濃度が上がるほど虫歯予防の効果も上がる。」という研究結果があります。
しかし、実は、6歳以下(大人の歯が生えていない子供)の場合は、500ppm以上のフッ素濃度の歯磨き粉を使うことは安全性の面で推奨されていません。
500ppm未満だと効果が認められておらず、500ppm以上の濃度は安全性の面で問題があると言われているわけです。
6歳以下の子供には、500ppmジャストの歯磨き粉がベストだということです。
ちなみに、市販の製品でフッ素配合と書いてあっても、詳しい濃度が書いていない商品は500ppm未満なことが予想されます。
(6歳~14際までのお子様はフッ素濃度を少し上げた1000ppmが適切です。)
②正しい歯磨きの方法
お子様と保護者の方に丁寧に教えます。指導したことができているか、染め出し検査をして確認することもあります。
③正しい歯磨き方法のマスター
(スクラビング法)
・ポイント1
- 毛先を歯の面に直角にあてる
- ハブラシの毛先を歯と歯ぐき(歯肉)の境目、歯と歯の間に、きちんとあてる
・ポイント2
・ポイント3
- 小さく動かす
- 5~10mmの幅を目安に小刻みに動かし、1~2本ずつ磨く
・ポイント4
を気をつけて1ヶ所につき20回以上磨きましょう。
フロスの使い方も指導します。
③適切な間食指導
おやつの時間を決めずに1日に何度もお菓子を食べたりジュースを飲んだりしていると、唾液が歯を修復する作用(再石灰化)が追いつかなくなります。間食する度に歯は虫歯菌に溶かされて、虫歯が出来きやすい環境になってしまいます。子供の手が届く場所にお菓子やジュースを置かないようにしましょう。
よくないこと
- 子供が自分で冷蔵庫の甘い物を取ってしまう
- テレビの前のローテーブルにいつも甘い物が置いてある
- 車には常に飴がおいてある など
お菓子は必ず保護者の方が管理して、子供が自由にお菓子を食べることのないようにしましょう。
間食としてではなく、食後のデザートとして甘いものを食べるのもよいでしょう。食事とセットにすると間食の回数は減ります。
3時のおやつのように時間を決めて制限するのも効果的です。
保護者の方と相談しながら間食の問題に関しても適切に丁寧に指導します。
参考文献
Walsh T, Worthington HV, Glenny AM, Marinho VC, Jeroncic A, Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries, Cochrane Databgase Syst Rev 2019;3:CD007868
WHO Expert Committee on Oral Health Status and Fluoride Use : Fluorides and Oral Health. WHO technical report series, Geneva:WHO, 1994:26-33
セルフケア指導 脱!誤解等と思い込み今はこうする!最新の解釈&臨床 クインテッセンス出版, 2021
日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会(編). う蝕予防の実際フッ化物局所応用実践マニュアル. 東京:社会保険研究所, 2017